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2009年02月16日

京都案内 洛中

岩波写真文庫の108巻は、『京都案内 -洛中-』である。
1954年2月に出版された。

京都案内 洛中

出だしの序文めいた文章が少し変わっている。
例えば「考現学」といった言葉が使われているのだ。
と、思って監修を見たら「梅棹忠夫」であった。
なるほど、と納得。

略歴を調べると、このときはまだ、大阪市立大学助教授。

序文めいたものには次のような表現が…。

「説明役には、きっすいの京都人が当りましょう。実地を見ながら、そのときどきの連想のおもむくままに、何やかやをお話します。」

この「説明役」=「きっすいの京都人」は、すなわち梅棹忠夫ではなかろうか。
とすれば、この写真文庫、梅棹の「そのときどきの連想」を刻印しているわけでなかなか興味深い。

おそらく梅棹によると思われる、京都についての基礎知識の解説も面白い。
解説者=たぶん梅棹忠夫によれば、こうなる。

「京都は、人口百十万、日本第三の大都会である。しかも、明治維新のころは二十数万に過ぎなかった。それは、廃都後にも着々と発展し成長をつづけてきた近代都市なのである。京都の奇蹟は、千年の文化の単なる保存にあるのではない。その千年の伝統に直結して、近代的大都市が生きているという点にある。強いて似た例を求めるとすれば、北京やパリをあげることができようか。」

この大風呂敷、梅棹的だ。
京都を「大都会」「近代都市」「近代的大都市」としている点が、かなり特徴的。
また、北京やパリと比べるところも、特色。
パリとつなげるところなど、初期の吉井勇とのつながりをみてしまいそう。

この写真文庫、実は非常に面白いものではないか、という気がしてきた。



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Posted by 愚華 at 14:52│Comments(0)読む
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