京つう

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2008年09月10日

蛸薬師の傍

夏目漱石の『三四郎』を読み終えた。

今回で3回目か4回目である。
内容をうっすらしか記憶していなかったのには驚いた。
やっと、枠組みは分かった感じだ。心もとないが。

『虞美人草』では、京都は物語の中で大きな位置を占めている。
しかし、『三四郎』では、出だしで少し登場し後は消える。
そういう意味で『三四郎』は東京小説だ。
それにくらべると『蒲団』の方が東京度が低い。

『三四郎』は、三四郎が熊本から上京する場面から始まる。
三四郎は、色の黒い女と「京都から相乗」だった。
ことによると京都の友人宅に泊まり、京都見物をしたのかもしれないが、
そのことは小説には出てこない。

色の黒い女は曲者である。
彼女は、広島から名古屋をへて四日市へ行くのだが、
京都の蛸薬師で玩具を買った、という。
『三四郎』で京都が焦点化されるのはこのときだけである。

色の黒い女は、三四郎と名古屋で旅館に一所に泊まるが、
三四郎はもちろん何もしない。
駅での別れ際、彼女は三四郎に
「「あなたはよっぽど度胸のない方ですね」といって、にやりと笑」う。

そして『三四郎』から京都はフェイドアウトする。


タグ :夏目漱石

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Posted by 愚華 at 09:33│Comments(0)読む
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