京つう

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2008年12月04日

唯一の京都

漱石の場合、京都に数回来ている。おそらく4回。
それが、彼の文学的想像力にリンクしたことは、作品に表れている。
特に、2回目の訪問以降が重要で、京都とのリンクは、彼が職業的作家になったのちに強力なものとなる。
ただ、浅井忠の問題は残るが…。

鴎外の場合、京都訪問は何回、というのは確定しているのだろうか?
不勉強のため不明。
記憶によれば、定宿は俵屋だったと思うが…。
これも記憶だが「高瀬舟」は京都が舞台。ただやや歴史小説的だったようにも思う。

最近鴎外の『青年』を読んだが、もちろん舞台は東京。
ただ京都が一切無関係かといえばそうでもなかった。

主人公の小泉純一が、Y県(山口県か)から上京し、一軒家を借りる。
小泉の前の住人は、洋画家だったらしく、1909年9月に京都へ引っ越している。

以下その場面の盗用=引用。↓

「純一がその門の前に立ち留まって、垣の内を覗いていると、隣の植木鉢を沢山入口に並べてある家から、白髪の婆あさんが出て来て話をし掛けた。聞けば貸家になっている家は、この婆あさんの亭主で、植木屋をしていた爺いさんが、倅(せがれ)に娵(よめ)を取って家を譲るとき、新しく立てて這入った隠居所なのである。爺いさんは四年前に、倅が戦争に行っている留守に、七十幾つとかで亡くなった。それから貸家にして、油画をかく人に借していたが、先月その人が京都へ越して行って、明家になったというのである。画家は一人ものであった。食事は植木屋から運んだ。総てこの家から上がる銭は婆あさんのものになるので、若し一人もののお客が附いたら、やはり前通りに食事の世話をしても好いと云っている。」

これが何か、京都における出来事に符合するのか、不明。
『青年』での唯一の京都。


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Posted by 愚華 at 10:36│Comments(0)読む
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