京都文学散歩で愚考した

愚華

2012年03月18日 19:01

大阪に保育社という出版社があった。
かつてカラーブックスを出していた。
一つのテーマについて、カラー写真と文章で構成するものだ。

先日、恵文社一乗寺店でその内の『京都文学散歩』というのを見つけた。
著者は、駒敏郎。
このシリーズでは、94番目のカラーブックス。
出版は、1966年2月。

近代文学と京都の交差を扱っている。

扱われた作品は36編。


発表年の早い順に5編ほどリストアップすると…
(ただしあくまでも『京都文学散歩』の記載に従ってだが…)

夏目漱石『虞美人草』(1907)
高浜虚子『俳諧師』(1908)
徳富健次郎『黒い眼と茶色の目』(1914)
森鷗外『高瀬舟』(1916)
加能作次郎『世の中へ』(1918)

…となっている。

加能作次郎の『世の中へ』がどういうものか、これだけ分からない。

高浜虚子の場合、『風流懺法』も載っているが、1921年出版となっている。
ただ、『風流懺法』中の三篇、「風流懺法」「続風流懺法」「風流懺法後日譚」は、
どれも雑誌『ホトトギス』に最初は掲載された。
「風流懺法」は、1907年4月。「続風流懺法」は1908年5月。
「風流懺法後日譚」は、1919年1月から1920年6月まで。

また、『俳諧師』は、1908年2月から9月まで「国民新聞」に連載された。

さらに、『虞美人草』は、1907年6月23日から10月29日まで『朝日新聞』への連載。


近代文学では、1907年から1908年にかけて、京都がなぜか主題化されている。
『ホトトギス』派によっているのも何かありそうだ。


不思議なことに、『京都文学散歩』では、長田幹彦の名前は出てくるが、
作品はとりあげていない。
1966年には、すでに過去の人、消え去った文学だったのだろう。

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