京都文学散歩で愚考した
大阪に保育社という出版社があった。
かつて
カラーブックスを出していた。
一つのテーマについて、カラー写真と文章で構成するものだ。
先日、恵文社一乗寺店でその内の『京都文学散歩』というのを見つけた。
著者は、駒敏郎。
このシリーズでは、94番目のカラーブックス。
出版は、1966年2月。
近代文学と京都の交差を扱っている。
扱われた作品は36編。
発表年の早い順に5編ほどリストアップすると…
(ただしあくまでも『京都文学散歩』の記載に従ってだが…)
夏目漱石『虞美人草』(1907)
高浜虚子『俳諧師』(1908)
徳富健次郎『黒い眼と茶色の目』(1914)
森鷗外『高瀬舟』(1916)
加能作次郎『世の中へ』(1918)
…となっている。
加能作次郎の『世の中へ』がどういうものか、これだけ分からない。
高浜虚子の場合、『風流懺法』も載っているが、1921年出版となっている。
ただ、『風流懺法』中の三篇、「風流懺法」「続風流懺法」「風流懺法後日譚」は、
どれも雑誌『ホトトギス』に最初は掲載された。
「風流懺法」は、1907年4月。「続風流懺法」は1908年5月。
「風流懺法後日譚」は、1919年1月から1920年6月まで。
また、『俳諧師』は、1908年2月から9月まで「国民新聞」に連載された。
さらに、『虞美人草』は、1907年6月23日から10月29日まで『朝日新聞』への連載。
近代文学では、1907年から1908年にかけて、京都がなぜか主題化されている。
『ホトトギス』派によっているのも何かありそうだ。
不思議なことに、『京都文学散歩』では、長田幹彦の名前は出てくるが、
作品はとりあげていない。
1966年には、すでに過去の人、消え去った文学だったのだろう。
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