村上龍と映画の関係

愚華

2009年06月08日 12:33

漱石の小説を原作としている映画について調べてみたところ、「映画と小説・映画と小説家」の関係性が、以外に面白いテーマになりそうだ、ということに気づいた。
と言っても趣味としての「関係性」探訪であるが。

で、村上龍について、また、日本映画データベースで調べてみた。

村上龍の小説を原作とする映画は、データベースによれば、9本ある。
夏目漱石に比べてやはり多いという感じ。漱石は15本だが、彼が活躍していたのは、今から100年近く前。村上龍はそれに比べると現在活動中。現役だ。
現役で9本はやはり多いのでは、と思った次第。

9本のリストは以下のとおり。

1:1979年、限りなく透明に近いブルー(本人が監督・脚本)
2:1983年、だいじょうぶマイ・フレンド(本人が監督・脚本・音楽)
(1989年、ラッフルズホテル(本人が監督))
3:1992年、トパーズ(本人が監督・脚本・音楽)
4:1996年、KYOKO(本人が監督・脚本・製作)
5:1998年、ラブ&ポップ
6:2000年、オーディション
7:2001年、走れ!イチロー
8:2003年、昭和歌謡大全集
9:2004年、69 sixty nine

ただ、一本疑問形のものが。

1989年の「ラッフルズホテル」だ。
村上龍には同名の小説がある。しかし、データベースでは、原作はなく、原案に「奥山和由」がクレジットされている。奥山和由は、おそらく松竹系のプロデューサーで、94年に作られた「RAMPO」の監督でもある。
この「ラッフルズホテル」を巡る映画と小説の関係は今のところ不明。

まず気づくのは、90年代は自分の小説は自分で映画を作るのだ、的な姿勢が濃厚に見えるということ。それが98年の「ラブ&ポップ」から、なんか関係のとり方が変化しているようだということ。面白そう。
あと、彼の代表作はやはり「コインロッカーベイビー」と「愛と幻想のファシズム」と思うが、それは映画化されていないということ。まあ、これは金のかかり方に違いがでそうということと思うが。
とはいえ、村上龍は、映画や映画化に極めて関係性を深くとろうとする作家・小説家であるようだ、ということが分かる。
ただ、出演はない。自分の肉体・身体・外見へのナルシスティックな関係のとりかたは、それほどではないのかもしれない。それが現在の彼のあの肉体に反映している、とも言えそうだ。
が、肉体へのナルシス的感覚は希薄だが、精神へのナルシス的感覚は深いとも解釈は可能か。

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