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2011年03月01日

「白昼鬼語」と京都

「白昼鬼語」読了。
実に、実に、実に面白い。
しかも、不覚にもだまされてしまった。
なんか、映画の『スティング』を思い起こさせる。
ただ、『スティング』はあくまで、明るい感じで行くのだが、「白昼鬼語」は、文中にもあるが、
物語を駆動させるものとして「変態性欲」を配しており、また、その変態的デカダンスが特徴だろう。暗い中に、鮮明なカラーで、エロティックな犯罪がおこなわれるという感じ。
しかし、どんでん返しでわかるが、フェイクなのだ。

「白昼鬼語」と京都

大変濃密な描写が積み重ねられる。
挿絵が見たい、という欲望をもたらす。
新聞連載だからあるはずだ。
『谷崎潤一郎必携』によれば、1918年5月23日から7月11日まで連載された。


興味深いのは、「京都」が登場することだ。
主人公と友人が水天宮近くの家で「殺人」と「死体溶解」を目撃する時、「殺人」者達の間で、「いつぞやの松村」という名前が出る。
主人公の友人で「精神病の遺伝がある」と自分で称する「園村」は、「いつぞやの松村」を、二ヶ月前に新聞で行方不明を報じられた「麹町の松村子爵」と断ずる。園村の推理では、松村子爵も、殺され死体は溶かされたというのだ。その殺人現場、かつ、死体溶解場が、実は京都とされている。
京都には東京と同様に人間を殺し溶解する家がある、という想定だ。
何を意味するのか、面白そうだ。


タグ :谷崎潤一郎

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Posted by 愚華 at 15:17│Comments(0)読む
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